『みすず』読書アンケート特集


特集号が届きました。

徳永恂さんに『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』を取り上げていただきました。

わたし自身の回答は次の通りです。

1の棚 『政治の美学──権力と表象』(東京大学出版会、二〇〇八年)のための論文改稿に数カ月を費やしたため、その過程で読み返した書物が多かった。拙著のエピグラフに引いたノーマン・O・ブラウン『ラヴズ・ボディ』(みすず書房、一九九五年)に、自分とまったく同じ問題意識で書かれた部分のあることに遅れて気づく。最も印象深いのは『橋川文三著作集』(筑摩書房)と『増補 日本浪曼派批判序説』(未來社、一九六五年)。橋川再評価の気運を感じる。隣には保田與重郎『日本に祈る』(新学社、二〇〇一年)を置こう。稀覯本『堀口捨己歌集』(鹿島出版会、一九八〇年)でこの建築家の歌を通読したことも長く余韻を残す経験だった。亡くなられた川村二郎氏の導き(『白夜の廻廊』岩波書店、一九八八年)でアドルノのゲオルゲ論を読んでいたところ、Ulrich Raulff (Hg.): Vom Künstlerstaat: Ästhetische und politische Utopien. München: Carl Hanser, 2006所収の、この編者によるゲオルゲ論の存在を知る。著者はアビ・ヴァールブルク論なども書いている人物。ゲオルゲ(派)への関心の高まりは何を意味するのだろうか。

2の棚 新聞で書評を担当した関係で、さまざまな書物との出会いがあった。その多くをここに並べたいが、一冊のみに絞るとすれば、追悼の意味を込め、若桑みどり『聖母像の到来』(青土社、二〇〇八年)。また、佐々木中『夜戦と永遠』(以文社、二〇〇八年)の才気と筆力は評価されるべきものだと思う。

3の棚 書き下ろしの本のため、ドイツ人による南イタリアの旅行記を集めている。ナポリ、カプリ、ポジターノ。二〇世紀初頭から一九三〇年代にかけて刊行されたベデカー社の赤い旅行案内『イタリア──アルプスからナポリまで』や『南イタリア』は何冊も揃った。改訂ごとの小さな変化を見つけながら、異国の過去への旅を楽しんでいる。

Posted: 日 - 2 月 1, 2009 at 10:49 午後          


©