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アーカイヴの魅惑と倫理

表象文化論学会ニューズレター『REPRE』33号に寄稿しました。書誌情報は
田中純「アーカイヴの魅惑と倫理」、『REPRE』33号、表象文化論学会、2018年6月22日、PRE・face。

なお、同じニューズレターにサイモン・クリッチリー『ボウイ──その生と死に』の紹介記事も書いています。


『UP』6月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第52回です。
書誌情報は 田中純「創像された怪物の解剖学──像行為論の射程」、『UP』548号(2018年6月号)、東京大学出版会、2018年、40〜47頁。

2018年5月12日に東京大学駒場キャンパスで行なわれた「パスカル・キニャールとの対話」セッション5「歴史あるいは夜」で読み上げた原稿です。
イヴァン・ジャブロンカ『歴史は現代文学である──社会科学のためのマニフェスト』(真野倫平訳、名古屋大学出版会)について。
『表象』12号に書評を寄稿しました。「特攻隊表象を「食い破る」ものたちのために──中村秀之『特攻隊映画の系譜学──敗戦日本の哀悼劇』書評」、『表象』12号、表象文化論学会、2018年、281〜284頁。
井上陽水の曲「桜三月散歩道」には、赤塚不二夫責任編集の雑誌『まんがNo.1』第2巻3号(1973年3月1日刊行)附録のソノシートに収録されたヴァージョンがある。

YouTube:

これは作詞者である長谷邦夫の詩に忠実に即した先行するヴァージョンで、アルバム『氷の世界』に収められている、よく知られた曲の詞は、陽水によって歌詞や語りの内容が変えられている。『氷の世界』では陽水自身による語りの部分が、『まんがNo.1』ではレコーディング・エンジニアの大野進によって語られているという違いもある。
たとえば、『氷の世界』ヴァージョンの語りでは、「江戸川」や「帝釈天」といった固有名詞が削られており、それによって、現実に縛られないイメージの自由な連想が許されている。さらに、三番の歌詞にあった「町へ行けば革命だ」というフレーズが歌全体から削除されている点も注目されるだろう。これらの改変を通じて、この曲は『氷の世界』というアルバムの世界観により馴染んだものになっている。
しかし、楽曲としての一体性や完成度の高さとは別に、『まんがNo.1』ヴァージョンにはそれ特有の魅力がある。固有名詞を排除して、平易だが象徴性の高い言葉によってイメージを喚起する陽水の詞の世界に近づけられた『氷の世界』版とは異なり、『まんがNo.1』版にはその完結性を崩す複数の異質な要素のせめぎ合いが感じられるからこそ、陽水の曲としては貴重に思われるのである。
とくに魅力的なのは語りの声だ。『氷の世界』の陽水ヴァージョンよりも低く男性的でかすれたような大野進の声は、どうしても技巧的に響いてしまう陽水の語りよりも、詞に込められたノスタルジーには親和的だったように思える。それとは逆に、「町へ行けば革命だ」という言葉が陽水によって歌われることの違和感もまた拭いがたいのではあるが。

以下に、『まんがNo.1』ヴァージョンの詞全文を掲げる。
「炎の図書館 あるいは文字たちの恍惚」より──
「炎の腕に抱かれたときの文字たちの恍惚を 誰も言わない」

「風の図書館 あるいは書物の終末」より──
「すべての書物のすべての頁が喪われたあとには 風の書物の風の頁」
『UP』3月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第51回です。
書誌情報は 田中純「見えない瓦礫を投げる──「蜂起」の身振りをめぐって」、『UP』545号(2018年3月号)、東京大学出版会、2018年、26〜33頁。
アンケートに回答しました。取り上げた書籍は次の通りです。
・道場親信『下丸子文化集団とその時代──一九五〇年代サークル文化運動の光芒』(みすず書房)
・パスカル・キニャール(小川美登里+桑田光平訳)『さまよえる影たち』、(小川美登里訳)『いにしえの光』(いずれも水声社)
・鹿島茂『失われたパリの復元──バルザックの時代の街を歩く』(新潮社)

なお、谷川渥さんが拙著『歴史の地震計──アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』を挙げてくださいました。ありがとうございます。

謹賀新年

2018のコピー.jpg


「ボウイ」表紙帯付き書影.jpg

拙訳が12月25日に刊行されました。書誌情報は
サイモン・クリッチリー『ボウイ──その生と死に』、田中純訳、新曜社、2017年。
イラストは原書と同じくエリック・ハンソンさん、装幀は祖父江愼さんです。

本書で言及されたり、言外に示唆されているボウイほかの曲(全105曲)のSpotifyプレイリストを作りました。

著者クリッチリーさんは次のプレイリストを公開しています。

本書に引用された歌詞部分の歌を編集した映像(英日二言語の歌詞付き)を作りました。
サイモン・クリッチリー『ボウイ』引用歌詞集 Cited lyrics in Simon Critchley's "BOWIE" with Japanese translation

歴史叙述における「キマイラの原理」

10+1 web siteに寄稿しました。書誌情報は
田中純「歴史叙述における「キマイラの原理」──カルロ・セヴェーリ『キマイラの原理』、ヘイドン・ホワイト『実用的な過去』」、10+1 web site, Web. 25 Dec. 2017. http://10plus1.jp/monthly/2018/01/issue-01.php
『UP』12月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第50回です。
書誌情報は 田中純「死者の像の宛先──スーザン・ソンタグの亡骸」、『UP』542号(2017年12月号)、東京大学出版会、2017年、43〜49頁。内容の性質上、該当図版は掲載していません。Sontag Leibovitzで検索すれば、一部の写真は見つかります。

美のトポス、その限界と外部

『思想』に寄稿しました。書誌情報は次の通りです。
田中純「美のトポス、その限界と外部──W・メニングハウスの著作を手がかりに」、『思想』1123号(2017年11月号)、岩波書店、2017年、6〜27頁。
これは「いま、「美」とは?」というリレー連載の第一回目で、次回の執筆者は小林康夫さんです。
水族館劇場の雑誌fishbone特別編集号に寄稿しました。書誌情報は
田中純「黒い翁(サトゥルヌス)の子供たち──トリエンナーレを地底から撃つために」、2017年水族館劇場横浜寿町公演fishbone特別編集号、水族館劇場、2017年、13頁。
『UP』9月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第49回です。
書誌情報は 田中純「朔太郎の青──W・ベンヤミンを補助線として」、『UP』539号(2017年9月号)、東京大学出版会、2017年、47〜53頁。
拙著『歴史の地震計──アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』の刊行を記念し、本書を購入した5名(予定)の方にムネモシュネ・アトラス・カード(一式64枚、二分割して32枚ずつ収容できるボックス付き)を贈呈します。

※応募方法
1. 田中純のTwitterアカウント(@tanajun009)をフォローする。→当選の場合にダイレクトメッセージ(DM)を送信するためです。DMの設定を「すべてのユーザーからダイレクトメッセージを受信する」にしている場合にはフォローの必要はありません。
2. お手元の『歴史の地震計』および本書と「良き隣人の法則」(ヴァールブルク)でつながる書物2冊以上(つまり、『歴史の地震計』を含めて合計3冊以上)を一枚の写真に撮影する。たとえば書棚や机上に本を並べた写真など。
3. 写真、感想などのメッセージ、ハッシュタグ「#歴史の地震計」をツイート。

※応募期間
2017年8月20日(日)20:00〜9月22日(金)23:59 →締切日変更
第一次締切:9月22日(金)23:59(当初締切)→この締切までの応募者は何らかの形で優待します。
最終締切:9月29日(金)23:59

※注意点
・上記の条件を満たす応募の総数が予定個数を上回った場合、写真から読み取れる書物同士の「隣人関係」の魅力にもとづき(つまり、『歴史の地震計』との組み合わせの妙を基準として)、田中の独断で当選者を選びます。先着順ではありません(ただし、上記の第一次締切までの応募者は優待します)。
・応募は1つのアカウントにつき1回とします。同じアカウントから複数の投稿があった場合、最新の投稿のみを応募用投稿と見なします。
・当選者の方にはTwitterのダイレクトメッセージでご案内をお送りします。
・投稿はRTさせていただく場合があります。

※ムネモシュネ・アトラス・カードとは?
ムネモシュネ・アトラス・カードは、『ムネモシュネ・アトラス』最終ヴァージョンの63枚にジョーカーに当たる1枚を加えた64枚のパネル写真をトランプのサイズで印刷したものです(『ムネモシュネ・アトラス』の全体像に関する理解を深め、『歴史の地震計』の読書に資することを目的として、限定された関係者のみに無償で配付すべく田中が作成)。
・ボックスに入った状態
MACBox.jpg
・カードを引き出した状態
MACBoxCards.jpg
・『歴史の地震計』のダイアグラムの一部を再現したカードの配置
MACCards.jpg

書評を寄稿しました。書誌情報は次の通りです。
田中純「書評:ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『受苦の時間の再モンタージュ』」、『図書新聞』3312号、2017年7月22日、10頁。
A2チラシ01HP用.jpg チラシPDF(15M)

シンポジウム:蜂起/野戦攻城2017@駒場──「出来事」(として)の知
日時:2017年7月29日(土)14時〜18時
場所:東京大学駒場キャンパス 18号館ホール

第1部 蜂起──The Humanities Are Rising Up(人文蹶起)
院生企画:G・ディディ=ユベルマン「蜂起(Soulèvements/Uprisings)」展を拡張する
 ・パフォーマンス「蜂起の風、あるいは残存するトラクト」
 ・パネル・プレゼンテーション

第2部 野戦攻城──藝能としての知
・桃山邑(水族館劇場)「藝能としての建築」
・田中純(東京大学)「(非)知の地震計たち」

総合討議 「出来事」(として)の知へ向けて 
・コメンテイター:桑田光平(東京大学)、森元庸介(東京大学)

【趣旨】
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン企画による展覧会「蜂起(Soulèvements/Uprisings)」について考察してきた大学院ゼミ(表象文化論)の参加院生たちと担当教員(田中純)が、水族館劇場主宰・桃山邑氏をお迎えし、水族館劇場のモットーである「野戦攻城」、建築という藝能、藝能としての知、あるいは「出来事」(として)の表象文化論をめぐり、パフォーマンスやパネル展示を含むシンポジウムの場で縦横に論じる。

問い合わせ先:

主催:東京大学大学院・総合文化研究科・超域文化科学専攻・表象文化論コース
共催:
科学研究費・基盤研究(B)「文芸諸ジャンルにおけるリアリティ表現の比較に基づくリアリズム概念の総合的再検討」(研究代表者:田中純)
科学研究費・基盤研究(B)「「同時代性」の探究:思想史・芸術学・文化ポリティクスからの複合的アプローチ」(研究代表者:長木誠司)
2017年7月2日に行なわれた表象文化論学会大会・研究発表パネルのコメント用スライドのPDFを公開します。コメントの網羅的なレジュメではなく、長めの引用などの概観を与えるためのものです。




Website

Profile

田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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