Blog (Before- & Afterimages): 2010年7月アーカイブ

2010年7月アーカイブ

芸術作品の観相術

表象文化論学会第5回大会を週末に終える。学会が成立してから4年、これから5年目。Five Years──だから、来年の7月は一つの区切りになるだろう。

「そんなふうにわたしの今までの試みが努めてきたのは、芸術のジャンル性をめぐる教説を粉砕することによって芸術作品への道を切り開くことだった。それらに共通するプログラム的な意図とは、前世紀の学問の概念を特徴付けているディシプリン間の堅固な隔壁をだんだんと取り壊している諸学問の総合化の過程を、芸術作品の分析を通して促進することであり、この分析は芸術作品のうちに、ある時代の宗教的・形而上学的・政治的・経済的諸傾向の、いかなる面でも閉域を形成して制限されることのない、総合的な表現を見出すのである。」

1928年に書かれた履歴書の一節。
筆者がこうした自分の試みと結びつく研究として挙げているのは、「芸術意欲」をめぐるアロイス・リーグルの方法論であり、同時代のカール・シュミットの政治学だった。

「しかし何よりもまず、この種の見方はわたしにとって、芸術作品が比較不能で一回限りのものとなる、その際立って観相術的な把握に欠かせぬ前提条件であるように思われる。この限りで、それは諸現象の歴史的な(historisch)見方よりも、具象的な(eidetisch)見方により近い。」

eidetischとは「眼に見える」こと。「Eidetiker」と言えば映像記憶を鮮明に保持できる能力の持ち主。
芸術作品をめぐる総合的な分析とは、その観相術なのである。

この文章の筆者はヴァルター・ベンヤミン。関連する著作は『ドイツ悲哀劇の根源』である。

ベルリン、ホロコースト・メモリアル

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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