ハノイ2010 - Blog (Before- & Afterimages)

ハノイ2010

10月6日から10日までベトナムのハノイに滞在した。 第12回東アジア4大学フォーラム・ハノイ会議というもの。ベトナムは初めてだが、今年はハノイ建都千年にあたり、10月1〜10日に千年記念行事が行なわれていたためもあるのだろう、とくに9日や10日は恐ろしいほどの人混みのうえ、30度を超える暑さに疲労困憊。案の定、最終日に体調を崩す羽目に。深夜発の便だったため、一日中、ポンコツの身体を騙し騙ししながら、何とか帰宅する。現在もまたぶり返さぬように快復を待っているところ。

フランス人が持ち込んだヨーロッパの様式建築、現地の伝統建築との融合が図られたインドシナ様式、小規模ながら洗練を感じさせるモダニズム建築など、建築好きにはたまらない異種混淆性。『建築のハノイ──ベトナムに誕生したパリ』という本が大変参考になる。ちなみに、この本で紹介されている建築のなかで、写真で見るかぎり最も関心をそそられたのは、一番初期の西洋・東洋混淆状態を示すハノイ大聖堂礼拝堂の、何やら危うくて儚いような絶妙で奇妙なバランスだったのだが、生憎と実見はできなかった(大聖堂自体は見学できた)。

フランス人にとって「南」なるものを象徴する色だったという黄色。薄いクリーム色から鮮烈な黄土色にいたるまで、公共機関や学校の建物を塗りつぶしたこの色彩が、南国にいることを印象づける。公式日程が多かったのと体調の問題があって、あまり見て回ることはできなかったが、そのなかでもインドシナ様式を代表するエルネスト・エブラール設計の歴史博物館(旧・フランス極東学院博物館)中庭にひとりで立った時間の静寂は忘れがたい。喧噪の巷のただなかに建っているはずなのに、あの静けさは建築がもつ力のゆえだろうか、博物館という性格がもたらすものだろうか。庭の巨大なガジュマルの樹が守り神のように見える。

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迷路のような旧市街を彷徨う。もとより観光地化してはいるのだが、人々の生活空間と路上とが通じ合っているさまは文字通り多孔的で、たまさかここを訪れたわれわれもそこを右往左往する一粒の粒子に過ぎない。思うさま迷う快感に浸りながら、ふと異質な建築物の門前に立つ。「清河霊祠」とあり、誘い寄せられるように門を潜ると、道教寺院らしく、敷地内に複数ある祭壇にそれぞれ供え物が置かれ、香が焚かれている。管理者の男性に招き寄せられて進んだ奥まった場所に位置する中心的な祭壇の、向かって右には龍、左には虎の陶器製らしい浮き彫り。数名の人々がお祈りをしては立ち去る。この祠の門前にもガジュマルの巨木が育っていた。

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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