大学教員の業務スリム化について - Blog (Before- & Afterimages)

大学教員の業務スリム化について

守秘義務があるような文書ではないため、学内での提案ながら、一部ここに公開しておくことにする。
1.不要な業務:形式的な会議・委員会
 経営管理業務全般に教員が関わることが前提となっているため、あらゆる案件について委員会やワーキンググループが組織され、会議や委員会の数が膨大に なっている。昨今の大学改革の流れのなかで関連業務が増えることにより、こうした傾向は日増しに強まり、教育や研究のための時間が大幅に失われている。

対処法(案):経営管理の集中化による会議・委員会の大幅な削減
 ルーティンで開催されている会議や委員会を見直すだけで一定程度のスリム化は可能であろう。だが、根本的には経営管理機能を集中化することが必要である。

 最大多数の教員が教育と研究に専念できることが望ましいとすれば、本学の先端科学技術研究センターが実現しているように、教育・研究と運営の分離を図る べきではないか。先端科学技術研究センターでは、組織運営および執行に関する事柄(内部組織の改廃・人事の提案・財務・予算の配分・面積の配分など)は、 「経営のプロフェッショナル組織」としての経営戦略会議(議長は所長で、事務長、副所長・各担当の教授・経営戦略担当教授からなる)で諮り、教授総会では その決定事項について重要な事柄が報告され、人事案件については教授会に諮られるという。これに準じた機能分離を部局単位で行なう。各学科の代表を集めて 何でも合議で決める形式的な民主主義をやめ、経営管理機能をこのように集中化することで削減される会議や委員会は非常に多いものと予想される。

 将来的にはさらに、スタッフ・ディベロップメント(SD)によって職員のアドミニストレーション能力を高め(下記「補足」参照)、職員がこうした経営戦 略にもっと関わるべきだろう。現状でも総務・財務系の業務の多くは(現状よりもさらに)職員主体の運営にすべきである。従来はさまざまな種類の委員会(構 成員は教員)が置かれ、意志決定の重要部分は教員に任せて、職員は事務の後処理を行なうという形式での大学運営が主であった。だが、私立大学においては、 総務・財務系の業務は学校法人としての管理業務であり、その責任は教員ではなく職員にあると考えられている(註) 。法人化したからには、こうした点で私立大学の発想を取り入れ、教員と職員との業務分担を考え直すべきであろう。

補足:FD・SDによる教員・職員の能力開発
 職員のアドミニストレーション能力を高め、教員と同じ資格で現在以上に部局運営・大学運営の一員となることが必要となろう。教員についても、早い時期か らアドミニストレーションに関する研修の機会などによって経営戦略に関わる人材を育成すべきである(広義のFD)。現在のように突然アドミニストレーショ ンに関わるようになるといったかたちでは、当該個人にとっても組織にとっても将来設計が難しい。教育に重点を置くか、研究に重点を置くか、アドミニスト レーションに重点を置くかといった選択肢を、着任後のある時点で選択できるようにしたらどうか。もちろん、年齢や時期によってカテゴリー間の移動はあって よい。人材の適性に合わせた、真に有効な職能の差異化を考えるべきである。

註:山本眞一「大学事務職員の能力開発──より良い大学経営のために」参照。URL=http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/tmp_djvu.php?id=89704

2以下略。

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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