研究のvisibility(発信力の強化など)を向上させる手法 - Blog (Before- & Afterimages)

研究のvisibility(発信力の強化など)を向上させる手法

大学ランキングにおける東大の地位低下などが騒がれているが、その関連で作成した提案。結局言いたいのは最後の段落なのだが。
 とくに国際的なvisibilityを上げるには、1.研究成果の(英語による)発信量の増大、2.研究成果の取材・編集・(日常言語への)翻訳による広報活動、3.ランキングなどに反映されやすい情報発信方法の戦略的開拓といった手段が考えられよう。

1.研究成果の英語による発信量の増大
1-1.英語論文作成支援体制の構築:ネィティヴ・チェックや場合によっては英訳を行なう専門的な人材を配置し(ないし優秀な外部スタッフとの契約を結び)、英語論文の質と量を高めるシステムを作って、全学の研究者が利用しやすくする。
1-2.東京大学学術機関リポジトリの強化:紀要論文の掲載などを半ば義務化するなど、研究資産の提供をより強力に部局に働きかける。研究者個人によるリポジトリへの登録プロセスをもっと簡略化する。将来的には、MITが「Dspace」を通じて行なっているような(http://dspace.mit.edu/)、学術論文をWebで無償公開し共同利用する方針を検討する。

2.研究成果の取材・編集・(日常言語への)翻訳による広報活動
2-1.科学技術インタープリターの活用:東京大学が養成プログラムを運営している科学技術インタープリター・プログラム修了生を活用し、研究成果の効果的な発信を行なう。「アカデミック・グルーヴ」の成果を英語による発信にも応用する。
2-2.ホームページ作成のガイドライン:部局や専攻・コース、学科、研究室のホームページによる発信について、広報室が中心になって横の連携を作り、盛り込むべき情報のガイドラインを示すなどして、全体として発信内容の質の向上をはかる。1-1-1の英語化サポート体制を利用して、英語版ホームページを充実させる。

3.ランキングなどに反映されやすい情報発信方法の戦略的開拓
3-1.ランキングを決定する発信方法の分析と強化:トムソン・ロイターやQSなどの評価で弱体な部分について、強化する方法を戦略的に検討する。ランキングは研究それ自体の質とは別物と割り切って、ピア・レビューの評価を高めたり、被引用回数を増やすためのロビー活動(?)も必要となるかもしれない。
3-2.ウェブ・プレゼンスの向上:スペインのNational Research CouncilのCybermetrics Laboが発表する大学ランキングWebometrics Ranking of World's Universities(http://www.webometrics.info/)では、Size, Visibility, Rich Files, Scholarを評価指数として、研究内容の質を問わず、ネット内でのプレゼンスの大きさのみを計量的に測定している(東大は51位)。その評価の質は置くとして、こうした面でのプレゼンスの向上も求められよう。

 ただし、以上のような発信力強化の手法はいずれも、そもそも東京大学における研究の成果がさらにvisible にするに値する世界水準であることを前提としている。本来重要なのは、研究能力の向上であり、そのための人材・資金の投入とそれによる士気の高揚だろう。本部はともかく現場の研究者には、研究に没頭できる環境こそが必要ではないか。

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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