歴史の無気味さ - Blog (Before- & Afterimages)

歴史の無気味さ

『現代思想』に寄稿しました。
書誌情報は
田中純「歴史の無気味さ──堀田善衞『方丈記私記』」、『現代思想』7月臨時増刊号「震災以後を生きるための50冊」、青土社、2011年、226〜229頁。

 「閻魔様の前を散歩してゐるやうな気持ちだ」──そんな呟きが記憶に甦った。敗戦前後の上海にいた二七歳の青年堀田善衞が、いわば「地獄めぐり」の日々を綴った日記(『堀田善衞 上海日記』)の一節である。堀田は、内戦に向かうこの地に一年以上もとどまり、そこでしか目撃できない何かを徹底して見届けようとしていた。
 この呟きの記憶に導かれて、堀田の『方丈記私記』を手に取った。鴨長明の生きた時代とおのれの経験した戦争末期という、二つの乱世に向けたこの作家のまなざしを、そこで確認したかったのである。
・・・・・・
 「歴史」と化した方丈の、「なんと莫迦げた」無気味さよ。だが、この極小の栖(すみか)こそが、震災以後の危機に徹底して冷徹なまなざしを向けようとする思想にとって、最後の拠り所のひとつとなりうるように思われる。

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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