Blog (Before- & Afterimages): 2012年3月アーカイブ

2012年3月アーカイブ

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シンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって」

2012年6月30日(土)14~18時
東京大学駒場キャンパス・学際交流ホール(アドミニストレーション棟3階
パネリスト:伊藤博明、加藤哲弘、田中純
コメンテイター:足達薫、上村清雄、木村三郎、三中信宏
司会:伊藤博明

3月末に刊行される『ムネモシュネ・アトラス』(ありな書房)の著者たちが、特徴的ないくつかのパネルないし「ムネモシュネ・アトラス」の全体構造について、さらにあらたな観点から解説を加え、コメンテイターと討議します。

※会場に来なければ見られない「仕掛け」を作るつもりです。乞うご期待。(田中)

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昨年11月にドイツで見たときの感想をまとめておく。

ヘルツォークのCave of Forgotten Dreamsを観る。地味だけど3Dで観る価値はあるのでは? 洞窟壁画の映像は素晴らしい。とくにバイソンと女性の下半身が重ねて描かれた突起物など。Postscriptで一ひねりがある。ショーヴェ洞窟から遠くない原発で、蒸気熱によって熱帯の温室を作り、ワニを繁殖させているという話。とくにアルビノの双子のワニとイメージの分身性をめぐる考察が興味深い。

このPostscriptに登場するワニが気になったので調べてみると、トリカスタン(Tricastin)原発の熱水を利用したクロコダイル・ファーム(La Ferme aux crocodiles)とようやく判明する。しかし、ヘルツォークの映画では原発近くのワニ園だからアルビノが生まれたような印象を与える作りになっていたような・・・。 映画にはアルビノの双子アリゲーターが登場するのだが、これについては「希少な白いワニ、欧州で初めて公開 フランス」という2010年2月の記事がある。これによると「アルビノ・アリゲーター」は米ルイジアナ(Louisiana)の動物園のものだという。

ドイツ語のナレーションやクレジットを十分把握していない可能性があるので断言はできないが、本編に比べてPostscriptはちょっと情報の提供の仕方が曖昧だったようには思う。評を見ると「Postscriptは不要」「意味がわからない」といったものが多い。しかし、問題はあるにせよ、刺激はされた。約3万2000年前の動物壁画が眠る洞窟と原発の冷却炉、さらに熱帯ワニ園との予想外の結合にはショックがあった。太古と現在、未来的なものとの多重化。数万年前の回帰とも未曾有の未来に向かうとも思える、人間の歴史の果ての自然史のイメージ。

同じ疑問をもつ人はすでにいた。Herzog's "Ecstatic Truth": Are Those Alligators Really Radioactive Mutants?   これによると、"Werner Herzog's conclusion may be ecstatically true, but it's empirically false. " この点について、ヘルツォークは「Ecstatic Truth」と言っているらしい(参照)。このスピーチにはなんと偽ロンギノスの崇高論が出てくる。なるほど、アルビノのワニの前には、『バッド・ルーテナント』 のイグアナという伏線があったのか・・・。洞窟映画のPostscriptはもはや事実の記録ではなく、崇高で「エクスタティックな真理」の表現だ、ということなのだろう。その意味ではフィクションなのである。

ところで、イグアナからアリゲーターにいたる原点は盟友クラウス・キンスキーにあったのではなかろうか。そういえばナスターシャも蛇女である。

『ムネモシュネ・アトラス』内容紹介

先日ご案内した通りですが、内容の一部を含むPDFが出来ましたので、公開します。

『ムネモシュネ・アトラス』内容紹介


『UP』3月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第27回です。
書誌情報は
田中純「世界模型のかけら──「思考のイメージ」としてのダイアグラム」、『UP』473号(2012年3月号)、東京大学出版会、2012年、55〜61頁。

そんなイメージたち──
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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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