Blog (Before- & Afterimages): 2014年1月アーカイブ

2014年1月アーカイブ

「なぜ今ヴァールブルクなのか?」

という論文を読んだ(Michael S. Roth, Memory, Trauma, and History: Essays on Living with the Past所収)。

ある一族の系譜

 祖先をたどって家系を探ることは、歴史の時空に自分自身を位置づけようとする営みと、ひとまずは納得できる。では、無名な人びとの系譜を明らかにしようとする試みには、いったいどんな欲望が働いているのか。彼らの生という点と点とを結びつけることでなされる、「名もなき人びとに捧げられた」「歴史の構築」(ベンヤミン)が描き出す星座は、その配置から何を占わせてくれるのか。──そんなあてのない問いを反芻しながら、ジルベール・クラヴェルの評伝執筆をきっかけとして、「アーシア(アーシア・ソロヴェイチク Asia Soloveicic)」という女性の生の軌跡を追い続けている。帝政ロシアの支配下にあったリトアニアに生まれ、キエフで成長した人物ゆえ、イタリアに亡命する以前の履歴についてはいまだ十分な調査が難しいものの、カプリ島に暮らし始めた1910年前後からの消息はある程度明らかになってきた(東京大学出版会の雑誌『UP』掲載の拙論「夢のなかの赤い旗」「ハデスの吐息」参照)。
 みずからもユダヤ人であるアーシアは第一次世界大戦後に、フェリックス・タンネンバウム(Felix Tannenbaum)という同じユダヤ人の彫刻家と結婚し、彼とのあいだに二女をもうけている。ここではこのタンネンバウムの一族の系譜をスケッチしておきたい。

上村忠男さんの『冥府の建築家』書評

昨年の『週刊読書人』第3019号(2013年12月13日)で、上村忠男さんに拙著『冥府の建築家』を「2013年の収穫」の一冊として取り上げていただいておりました。感謝します。評は次の通りです。

著者によると、本書はジルベール・クラヴェル(1883-1927)という、幼少時から重い宿痾をかかえながら、イタリア南部アマルフィ海岸の「死の都市」ポジターノに「冥府」をイメージした洞窟住居を建築したスイス人芸術家の妄執(オブセッション)に捧げられた書物だという。そして妄執は《ひとからひとへと伝染する》とも。じっさいにも、本書は死への妄執に取り憑かれたひとりの芸術家の生をいかにもヴァールブルク的=ギンズブルグ的な「徴候的知」の実践家らしい緻密な考証でもって追尋した評伝でありながら、それを綴る著者自身、なんと凄まじいばかりに死への妄執に取り憑かれていることか。

謹賀新年

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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