磯崎新〈鳥小屋〉トリーハウス内の書物の宇宙(1996年時点) - Blog (Before- & Afterimages)

磯崎新〈鳥小屋〉トリーハウス内の書物の宇宙(1996年時点)

ワタリウムでの「磯崎新 12×5=60」展では、軽井沢の書斎〈鳥小屋〉トリーハウスの実物大模型が展示されている。幅が狭くて急な外階段を昇って入ることのできるその内部には、ごく限られた資料や書物が展示されているのみだが、実際にはここは本来書斎であるから、その書架には磯崎さんが夏にこの小屋に籠もって執筆するために必要な書物が並べられている。
わたしはかつて、磯崎さんがプロデュースした建築学会主催の展覧会「1996年度アーキテクチュア・オブ・ザ・イヤー ─ カメラ・オブスキュラあるいは革命の建築博物館 ─ 」関連書籍(磯崎新監修・田中純編『磯崎新の革命遊戯』としてTOTO出版から刊行)に資料として掲載するため、この鳥小屋をはじめとする磯崎さんの蔵書を調査した(この展覧会については、ここを参照)。その成果は『磯崎新の革命遊戯』所収の「磯崎新・蔵書リスト──建築思考の宇宙を覗き見る」にまとめられている。ここでは、単に蔵書を列挙するだけではなく、できうるかぎり書棚での書物の配置の記録を目指した。
これは、それ以後も変化し続けたであろう書斎における書物の並びを1996年夏の時点で停止させて記録したものに過ぎない。しかし、「トリーハウス」の室内がどのような書物群によって囲まれた空間であったのかをいささかなりとも推測する手がかりとはなろう。詳しくは『磯崎新の革命遊戯』を参照願うこととして、数ページの画像をここに掲げる。
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拙著が置かれたC4の棚周辺の書籍。

ところで、わたしがアビ・ヴァールブルクについての最初の論文を書いたのが確か1998年の『批評空間』だったから、この蔵書リストを作成したのはそれ以前、そもそもヴァールブルクに強い関心を向ける以前ということになる。それにしてはこれはすでに、ヴァールブルクの図書館における書物の配置や、「ムネモシュネ・アトラス」にまでつながる「空間構造としての知」という発想にあまりにも近い。ここでもわたしは、磯崎さんを経由してヴァールブルクに導かれていたのだろうか。1980〜90年代における自分にとってのアカデミアはこの建築家を中心とする圏域にこそあったのだと、つくづく思う。

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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