Blog (Before- & Afterimages): 2014年10月アーカイブ

2014年10月アーカイブ

2014年10月25日に行なわれた「磯崎新12×5=60」展(ワタリウム美術館)での松井茂さんとのギャラリートーク用のメモと関連資料です。

資料
・「1996年度アーキテクチュア・オブ・ザ・イヤー──革命の建築博物館」会場写真
1996AoYphoto01.jpg
・この展覧会準備の顛末:1996AoY.pdf
・1996年夏のトリーハウス内蔵書の配置分析図:IsoLibrary.pdf
・トリーハウスに触れた拙文(『磯崎新建築論集』月報):nostalgia.pdf
田中純によるメモ本文

書評再録:高山宏『かたち三昧』

「学魔」高山宏さんの生誕祭が近いらしいので、読売新聞に書いた『かたち三昧』(羽鳥書店)の書評を掲載します。

 本書の前書きにあたる「口上 フィギュラリズム」に、著者の生家が帰依心篤い曹洞宗檀家で、経を読む父上の傍らで幼い日から日課経大全を暗誦していたとあるのを読み、「高山節」と自称する著者の文体の源を知った。「三昧」も元来は仏教の行法を指す言葉。本書は「かたち」に関わるさまざまな知をめぐって放たれた、恐るべき博学の人の「真言(マントラ)」である。
 中心をなすのは出版社の月刊PR誌に63回連載されたエッセイだから、一つ一つの文章は短い。円の形象を出発点に英文学寄りの話題から緩やかに連鎖して始まるものの、次第に視覚文化論全般へと展開し、テーマに応じて人文学の古典や最先端の研究が次々と紹介されてゆく。高山節の魅力は話がとめどなく横滑りする疾走感だが、ここでは文字数制限が恰好の器となって、著者ならではのブックガイドに結実している。奇態な図像の数々も眼福のかぎり。
 キーワードは16世紀西欧の様式「マニエリスム」だ。G・ルネ・ホッケの研究書『迷宮としての世界』が大元にある。マニエリスムお気に入りのうねくった蛇状曲線という「かたち」こそ、本書の内容と文体の基本形である。
 著者の学識が作品分析にどう生かされるかは、併載された漱石論4篇が示している。『猫』は英文学者漱石の面目躍如たる「英国小説」直系として、『明暗』は蛇状曲線だらけの「マニエリスム小説」として解読される。鍵になるのは『明暗』の「診察(み)た様子で分ります」という医師の言葉だ。漱石の付けたこのルビに「視」と「知」が密着する近代的知の構造を「見る」のも、著者ならではの「視」点だろう。
 本書所収の連載は首都大学東京の改組に伴う新学科設計に並行して書かれた。ここには人文学の新たなデザインに向けた模索がある。精力的な訳業とともに、著者の八面六臂は、過度の専門化のあまり、やせ細ってゆきかねない人文学研究に対する、「喝」と受け止めたい。
(2009年10月11日付読売新聞掲載)

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田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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