Blog (Before- & Afterimages): Memorandumアーカイブ

Memorandumの最近のブログ記事

修士修了生への言葉

表象文化論コースの学位授与式で読み上げた原稿です。
院生・卒業生の皆さんへのメッセージとして掲げておきます。

謹賀新年

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装飾的総合芸術からアレゴリー的廃墟へ

共著に論文を寄稿しました。書誌情報は
田中純「装飾的総合芸術からアレゴリー的廃墟へ──アドルフ・ロースを通して見るウィーン文化の変容」、池田祐子編『ウィーン──総合芸術に宿る夢』、竹林舎、2016年、483〜504頁(総ページ数541頁)。

謹賀新年

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ガブローシュとジャベール

これもちょっと思い出して、昔書いた映画版「レ・ミゼラブル」の感想。

華麗なるギャツビー

Lo-Fang のYou're The One That I Wantという歌(有名な曲のアレンジ)、いや、その声が気に入って、シャネルの5番のCMを観た。監督のバズ・ラーマンの名前に記憶がなかったのだけれど、2013年版の『華麗なるギャッツビー』を撮った人物だと知る。
思い出したので、別の場所に当時メモしたこの映画の感想をここに。
                                    

荒川厳夫『百舌』詩抄

以下に掲げるのは荒川厳夫の詩集『百舌』からの詩二篇である。「荒川厳夫」とは、橋川文三(1922-83)の弟、橋川敏男(1925-1954)のペンネームである。敏男は結核のため、広島の療養所に長期入院していた。『百舌』は彼が療養所の詩友たちと作った「高原詩の会」によって発行されている。発行日は1954年4月6日。しかし、敏男はその三日前に28歳で永眠している。
この詩集については、橋川文三編解説による「荒川厳夫「百舌」詩抄」が、雑誌『ユリイカ』1976年4月号に掲載されている(241-256頁)。そのうちの解説「荒川厳夫詩集「百舌」についての私記」(のちに「私記・荒川厳夫詩集『百舌』について」と改題され、『標的周辺』に収載。『橋川文三著作集8』所収)によれば、『百舌』は横長の謄写印刷で作られ、全体がちょうど100ページ、37篇の詩作品を収録しているという。「荒川厳夫「百舌」詩抄」にはそこから7編が採られた(「眩暈」「白い盆燈籠」「蠅」「桔梗」「ふとん」「誕生日」「怪我」)。敏男の詩の背景にある、まだ壮年だった父の病死に始まる酸鼻な一家離散の歴史は文三のこの「私記」に詳しい。なお、「荒川厳夫」という筆名は敏男が好んでいた詩人アラゴン(「荒」「厳」)に由来するという。
橋川文三の「私記」はともかく、荒川厳夫(橋川敏男)の詩そのものが世上の人びとの目に触れる機会はきわめて稀、いや、ほとんど皆無であろうと思われる。「詩抄」に選ばれた詩の多くは、自身の病や療養生活を題材として、透き通った沈鬱さと諦念のなかに、一瞬の生の煌めきのようなものをとらえている。このように優れた詩がほぼ誰にも読まれぬままにとどまることはあまりにも無念に思われた。それゆえここに、亡くなった母をめぐる哀切きわまりない詩「白い盆燈籠」──文三はこの詩について「私たち兄妹にはほとんど読むにたえない痛恨悲哀の感をよびおこす」と書いている──、そして、読む者に衝撃を与えて忘れがたい印象を残す「桔梗」の二篇を、全文データ化して公開する。底本は上記『ユリイカ』、ルビは[ ]で示し、傍点はやむをえず太字(ボールド)で代替した。OCRを利用したうえでチェックしたが、誤字などにお気づきの場合にはご指摘いただきたい(Twitter@tanajun009)。
「脱構築の生き証人のような人」と言われるロドルフ・ガシェさんの講演や『思想』のデリダ特集と、デリダづいていた週の印象記。

書評再録:高山宏『かたち三昧』

「学魔」高山宏さんの生誕祭が近いらしいので、読売新聞に書いた『かたち三昧』(羽鳥書店)の書評を掲載します。

 本書の前書きにあたる「口上 フィギュラリズム」に、著者の生家が帰依心篤い曹洞宗檀家で、経を読む父上の傍らで幼い日から日課経大全を暗誦していたとあるのを読み、「高山節」と自称する著者の文体の源を知った。「三昧」も元来は仏教の行法を指す言葉。本書は「かたち」に関わるさまざまな知をめぐって放たれた、恐るべき博学の人の「真言(マントラ)」である。
 中心をなすのは出版社の月刊PR誌に63回連載されたエッセイだから、一つ一つの文章は短い。円の形象を出発点に英文学寄りの話題から緩やかに連鎖して始まるものの、次第に視覚文化論全般へと展開し、テーマに応じて人文学の古典や最先端の研究が次々と紹介されてゆく。高山節の魅力は話がとめどなく横滑りする疾走感だが、ここでは文字数制限が恰好の器となって、著者ならではのブックガイドに結実している。奇態な図像の数々も眼福のかぎり。
 キーワードは16世紀西欧の様式「マニエリスム」だ。G・ルネ・ホッケの研究書『迷宮としての世界』が大元にある。マニエリスムお気に入りのうねくった蛇状曲線という「かたち」こそ、本書の内容と文体の基本形である。
 著者の学識が作品分析にどう生かされるかは、併載された漱石論4篇が示している。『猫』は英文学者漱石の面目躍如たる「英国小説」直系として、『明暗』は蛇状曲線だらけの「マニエリスム小説」として解読される。鍵になるのは『明暗』の「診察(み)た様子で分ります」という医師の言葉だ。漱石の付けたこのルビに「視」と「知」が密着する近代的知の構造を「見る」のも、著者ならではの「視」点だろう。
 本書所収の連載は首都大学東京の改組に伴う新学科設計に並行して書かれた。ここには人文学の新たなデザインに向けた模索がある。精力的な訳業とともに、著者の八面六臂は、過度の専門化のあまり、やせ細ってゆきかねない人文学研究に対する、「喝」と受け止めたい。
(2009年10月11日付読売新聞掲載)

「なぜ今ヴァールブルクなのか?」

という論文を読んだ(Michael S. Roth, Memory, Trauma, and History: Essays on Living with the Past所収)。

ある一族の系譜

 祖先をたどって家系を探ることは、歴史の時空に自分自身を位置づけようとする営みと、ひとまずは納得できる。では、無名な人びとの系譜を明らかにしようとする試みには、いったいどんな欲望が働いているのか。彼らの生という点と点とを結びつけることでなされる、「名もなき人びとに捧げられた」「歴史の構築」(ベンヤミン)が描き出す星座は、その配置から何を占わせてくれるのか。──そんなあてのない問いを反芻しながら、ジルベール・クラヴェルの評伝執筆をきっかけとして、「アーシア(アーシア・ソロヴェイチク Asia Soloveicic)」という女性の生の軌跡を追い続けている。帝政ロシアの支配下にあったリトアニアに生まれ、キエフで成長した人物ゆえ、イタリアに亡命する以前の履歴についてはいまだ十分な調査が難しいものの、カプリ島に暮らし始めた1910年前後からの消息はある程度明らかになってきた(東京大学出版会の雑誌『UP』掲載の拙論「夢のなかの赤い旗」「ハデスの吐息」参照)。
 みずからもユダヤ人であるアーシアは第一次世界大戦後に、フェリックス・タンネンバウム(Felix Tannenbaum)という同じユダヤ人の彫刻家と結婚し、彼とのあいだに二女をもうけている。ここではこのタンネンバウムの一族の系譜をスケッチしておきたい。

上村忠男さんの『冥府の建築家』書評

昨年の『週刊読書人』第3019号(2013年12月13日)で、上村忠男さんに拙著『冥府の建築家』を「2013年の収穫」の一冊として取り上げていただいておりました。感謝します。評は次の通りです。

著者によると、本書はジルベール・クラヴェル(1883-1927)という、幼少時から重い宿痾をかかえながら、イタリア南部アマルフィ海岸の「死の都市」ポジターノに「冥府」をイメージした洞窟住居を建築したスイス人芸術家の妄執(オブセッション)に捧げられた書物だという。そして妄執は《ひとからひとへと伝染する》とも。じっさいにも、本書は死への妄執に取り憑かれたひとりの芸術家の生をいかにもヴァールブルク的=ギンズブルグ的な「徴候的知」の実践家らしい緻密な考証でもって追尋した評伝でありながら、それを綴る著者自身、なんと凄まじいばかりに死への妄執に取り憑かれていることか。

謹賀新年

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坂本泰宏氏講演会(11月13日)趣旨

芸術作品等を対象とした知覚研究においてゲシュタルト心理学が寄与しうる可能性は、ヴォルフガング・ケーラーやルドルフ・アルンハイムら、マックス・ヴェルトハイマーの弟子達によって示唆されるとともに、美術史・イメージ学においても言及されてきた。しかし、デビット・マーによるゲシュタルト心理学批判などに見られるように、当時の社会的・技術的背景も相まって十分な発展を遂げることができなかったゲシュタルト心理学(ベルリン学派)の方法論的な欠陥はその実現を先送りにしてきた。

一方で、2013年にドイツ・フランクフルトに新設されたマックス・プランク経験美学研究所は、還元主義的な傾向の強いニューロサイエンス発祥の神経美学とは異なる、神経系人文学による新たな審美・知覚研究の可能性を模索することをスローガンとして掲げている。このような、人文学的表象分析を軸とした審美・知覚研究はカール・クラウスベルク提唱の神経系イメージ学の考えに根ざしている。 

これらの学術的背景を踏まえ、本講演では(1)芸術・イメージ知覚研究に関するこれまでの動向を整理するとともに、(2)ゲシュタルト心理学と神経系イメージ学の接点を探ることによって、人文学的仮説に基づく新たな知覚研究の可能性について具体例を交えて議論する。

「醜美の根源、ゲシュタルト、知覚表象の狭間──神経系イメージ学の探求」
日時:2013年11月13日(水) 18:00-20:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
主催:科学研究費補助金(基盤研究(B))「科学の知と文学・芸術の想像力」(研究代表者:鍛治哲郎)

入場無料・事前登録不要
特別講演会
「修復の歴史と哲学:19・20世紀ヨーロッパにおける建築の修復」

【講演者】
オリンピア・ニリオ(イバゲ大学/京都大学大学院人間・環境学研究科客員教授)

【概要】
建築にせよ美術にせよ、過去の芸術作品をどのように保存するかという問題について、西洋では末期ローマ時代から様々な方法が提起されてきた。しかし、近代的修復概念が確立されるのはフランス革命以後であり、19世紀になると建築の修復に関する様々な理論が現れはじめる。本レクチャーでは、主として19・20世紀に生み出された修復理論の数々とその適用事例を検証しながら、芸術的・文化的・歴史的価値を有する人間の制作物にたいして、どのような理念のもとに修復が試みられてきたのかを検証する。

【日時】2013年6月19日(水)18時10分~20時10分
【場所】東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
【主催】平成25年度科学研究費補助金・基盤研究(B)「ヴァールブルク美学・文化科学の可能性」(研究代表者:伊藤博明)
【共催】東京大学表象文化論研究室+京都大学大学院人間・環境学研究科岡田温司研究室
*使用言語:イタリア語(通訳有り)
*一般来聴歓迎・申込み不要

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謹賀新年

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ムネモシュネ・アトラス展チラシ

クリックでPDFがダウンロードできます(デザイン:廣瀬暁春くん)。

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ムネモシュネ・アトラス展【告知】

写真パネル展示「ムネモシュネ・アトラス──アビ・ヴァールブルクによるイメージの宇宙」

会期:2012年12月15日(土)〜22日(土) 16日(日)休
展示時間:10:30〜19:00(会場でのイベント開催時を除く)
会場:東京大学駒場キャンパス 21KOMCEE 地下1階 MMホール
入場料:無料

本展では,ロンドン大学ヴァールブルク研究所から提供を受けたデータにもとづき,ヴァールブルク逝去の年1929年に撮影された「ムネモシュネ・アトラス」全63枚の写真を,すでに失われて現存しない実物のパネルに近いサイズで展示します。

展覧会サイト:http://mnemosyne-ut.tumblr.com/
問い合わせ先 e-mail warburg2012[at]gmail.com

主催:平成24年度科学研究費補助金・基盤研究(B)「ヴァールブルク美学・文化科学の可能性」(研究代表者: 伊藤博明 、研究分担者:加藤哲弘、田中 純)

共催:東京大学表象文化論研究室,平成24年度科学研究費補助金・基盤研究(B)「科学の知と文学・芸術の想像力」(研究代表者:鍛治哲郎)

協力:東京大学駒場博物館,ありな書房

データ提供:ロンドン大学ヴァールブルク研究所

Special thanks to the Warburg Institute, London for its generous permission to use photographic images.

特別イベント──ヴァールブルクの宇宙を拡張する試み
*いずれも入場無料。ただし,入場者数の制限を行なう場合があります。
■レクチャー&ダンス・パフォーマンス
2012年12月15日(土) 「ムネモシュネ・アトラス」展会場
14:00〜17:00(開場13:30) 新作パネルによる『ムネモシュネ・アトラス』解説
講師:伊藤博明(埼玉大学),加藤哲弘(関西学院大学),田中純(東京大学)
18:30〜19:30(開場18:00) Mnemosyne Atlas Performance
作:原瑠璃彦(東京大学大学院)
ダンス:伊藤雅子(東京大学大学院),伊牟田有美

■シンポジウム
ヴァールブルク美学・文化科学の可能性
2012年12月22日(土)14:00〜18:00(開場13:30) 「ムネモシュネ・アトラス」展会場 
セクション1 情念定型のメタモルフォーゼ──ベル・エポックのニンファ
 小澤京子(埼玉大学),加藤哲弘
セクション2 ヴァールブルク的方法──G.ディディ=ユベルマンのイメージ論
 森元庸介(東京大学),田中純
セクション3 イメージの哲学──ジョルダーノ・ブルーノとヴァールブルク
 岡本源太(岡山大学),伊藤博明
総合討議
6月30日に行なわれたシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」読み上げ原稿を公開します。[P1]などとあるのはスライド番号ですが、これら図版類はネット上での公開を見合わせます。

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Profile

田中 純
東京大学大学院総合文化研究科・教授
TANAKA Jun, Ph.D.
Professor
The University of Tokyo

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