磯崎新監修・田中純編『磯崎新の革命遊戯』 TOTO出版、2000円(税込み)

「1996年度アーキテクチュア・オブ・ザ・イヤー ─ カメラ・オブスキュラあるいは革命の建築博物館 ─ 」展カタログ


「悪循環にも似たこの近代という構造がつくりだした枠組みがいつクラッシュするのだろうか。システム崩壊はいつ起こるのだろうか。それをあらためて、建築史というカメラ・オブスキュラのなかで考えてみたい。」 ─ 革命遊戯の胴元・磯崎新のこの問いかけに応えて、4人の若手勝負師(ハスラー)たち(田中純・中谷礼仁・松原弘典・貝島桃代)は建築とその歴史をめぐり、各人各様の賭けを仕掛けた。本書はそんな4つの異なる賭け=遊戯の記録である。展覧会という形をとったこのゲームのドキュメントもまたここに収録されており、磯崎新の蔵書リストという膨大な参考文献一覧がそのなかに含まれている。
〈建築史と他者〉、〈世界・建築・地図〉、〈究極の建築〉、〈メイド・イン・トーキョー〉 ─ それぞれのセクションでは胴元が勝負師たちと対談を繰り広げ、さらにそこには多彩な執筆陣による論考という、各勝負師たちの切り札も控えている。暗い部屋(カメラ・オブスキュラ)の中で展開されるこの言葉のバトルは、建築史という言説の制度、日本建築の近世と近代、革命と社会主義の建築、そして建物を量産する都市・東京の現在をテーマに、建築、建築史の現状にさまざまな問いを突きつけるものになるだろう。建築史のルールは何か、その相手(他者)は誰か。日本において建築とはどんなゲームでありうるか。政治のパワー・ゲームと建築との接点はどこか。東京を舞台に建築にはどのようなゲームが可能か。・・・
さて、この革命遊戯に勝つのは誰か。胴元か、勝負師か。いや、それとも本当の対戦相手は〈近代〉であり、これが手持ちのジョーカーで勝ちをさらってしまうのか。いずれにせよ、すでにこの場にカードはすべて配られ、表に返されている。建築史をめぐる革命遊戯の勝負の行方は、読者自らが判定していただきたい。

目次より(敬称略)

はじめに
世紀末に捧げる知の贈物(三宅理一)

建築史という暗箱(磯崎新)


1. 建築史と他者
建築・日本・歴史 ─ エディプスとしての建築家(対談:磯崎新+田中純)

窃視者の欲望、独身者の機械(図版構成)(五十嵐太郎)

1492年 ─ 内なる他者の「隔離」、外なる他者の「発見」(五十嵐太郎)

歴史という廃墟 ─ 危機の計画=企画(田中純)

建築のポイエーシス(小林康夫)


2. 世界・建築・地図

重源か、遠州か ─ 磯崎新の日本的現在(対談:磯崎新+中谷礼仁)

世界・建築・地図(中谷礼仁)

異国建築序説(木下直之)

伝統への視点の獲得 ─ 明治20年代の建築界と日本建築学(稲葉信子)

螺旋的な往還 ─ エッフェル塔と螺旋塔をめぐって(松浦寿輝+中谷礼仁)


3. 究極の建築

建築の持つ力(対談:磯崎新+松原弘典)

究極の建築への招待 ─ ソ連、中国の近代建築から(松原弘典)

究極の建築(松原弘典編)

造反と放大 ─ 文化大革命の建築的状況(張在元+三宅理一)


4. メイド・イン・トーキョー

ダメ建築礼賛(対談:磯崎新+貝島桃代)

メイド・イン・トーキョー(貝島桃代+T.M.I.T.)

 

メイド・イン・トーキョーマップ&カタログ

空白恐怖症の東京 ─ メイド・イン・トーキョーへの援護射撃(塚本由晴)


カタログ編:

アーキテクチュア・オブ・ザ・イヤー'96
カメラ・オブスキュラあるいは革命の建築博物館(三宅理一)

建築史と建築家をめぐる重層した世界の投影装置(韓亜由美)

展示構成

言説の部屋ダイヤグラム

展示目録

磯崎新・蔵書リスト ─ 建築思考の宇宙を覗き見る(田中純編)

展覧会協力者リスト


著者紹介

索引


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